2019年5月11日土曜日

48 CO2排出量について

 47稿で、東急世田谷線が再生エネルギーに切り替えたことを取り上げ、1年で1260トンのCO2が昨削減できると書いたのであるが、この数字は、改めて考えるとものすごい数字だ。何しろ単位がトンなのである。
 CO2は気体である。気体の重さというものについて、われわれはあまり考えていないのではないか。1260トンのCO2というのは一体どれほどの量なのだろうか。

★1260トンのCO2とは?

調べてみるとCO2の比重は約1.53。
 気体は空気を1として測るので、空気の約1.53倍の重さということだ。
 私たちは、空気の重さを意識しないで生活しているが、1立方メートル(㎥)は約1.29kgある。
 CO2は空気の1.53倍であるから、1.29×1.53≒1.97で、約2㎏ということになる。

 1トンというのは1000㎏であるから、2㎏の約500倍。体積にすると、500㎥ということだ。
 1260トンは、その1260倍であるから、500×1260で、体積64800㎥ということになる。
 この体積のイメージを図にあらわしてみると・・・


  1260トンのCO2の量を角柱にすると、36m四方、高さ500mになるということだ。
  36m四方というのは、畳なら800畳敷きの広さである。
  500mは333mの東京タワーより、167m高い。
  世田谷線はそれだけのCO2を削減する。。
  逆に、再生エネルギーでなければ、1年間でこれだけの量のCO2を排出するということである。

★日本全体の鉄道では、どのぐらいのCO2を排出しているのか

全線わずか20km、1日187本(1時間平均9本)、最高速度40km時、平均速度16.7km時ののんびりした2両の路面電車である世田谷線が、1年間に1260トンのCO2を排出するというのなら、日本全土の鉄道では、いったいどれほどになるのだろう。

 そこで、日本の鉄道路線の総延長距離を調べてみたが、JRのみで27,182kmというデータしか見つからなかった。これは世田谷線の約1360倍であるが、実際には他の私鉄や地下鉄もあり、こんなものではないだろう。またJRに限ってみても、平均時速200キロの新幹線もあるし、100キロ以下のローカル線もある。それぞれの線がどれほどのエネルギーを使いCO2を排出しているのかを調べるのは大変なことだ。
 そこで、ここからは、国土交通省や環境省の出しているデータを基に、別方向から考えることにした。

(以下次稿)


  

2019年5月6日月曜日

47 世田谷線に乗って行きます

★バス並みのスピード


 私は、世田谷に住む娘の家に行くときは、渋谷から三軒茶屋に出て、そこから東急世田谷線に乗って行く。彼女の家は、渋谷からバス1本で行くことができ、バス停からは目と鼻の先なのであるが、私はあえて、世田谷線に乗ることにしている。

 三軒茶屋から下高井戸までの10駅、全行程わずか5㎞しかない。始発駅から終点まで乗っても20分ほどである。世田谷線は、昔、渋谷―二子玉川園間を走っていた玉川電気鉄道(通称“たまでん”)の支線としてできた下高井戸線であり、“たまでん”が東急電鉄に吸収され、渋谷―二子玉川園間が廃止された後、世田谷線と名を変えて残ったものである。

 世田谷線ルート


 世田谷線は、電車といっても、2両編成の路面電車。駅と駅の間は平均500m程度なので、発車してスピードを出す間もなく、次の駅に着く。そのスピードはむしろバスに近く、実にのんびりした電車である。


★100%再生可能エネルギーで


 私が、こののんびりした世田谷線を選択する理由は、この線が今年3月25日から、100%再生可能エネルギーで終日電車を走らせることになったからである。それまでは、その日の気分でバスにしたり世田谷線にしたりであったが、このニュースを新聞で目にしてからは、世田谷線一本にすると決めた。

 世田谷線の2018年度電力使用量は215万6000キロワット時(見込み)。2018年度実績で換算した場合、CO2排出削減量は、年間約1263トンになるという。
 ごく小さな路線ではあるが、路線全体の100パーセント再生エネエルギー化は、日本発である。他の鉄道に先駆けての東急電鉄のこの取り組みを大きく評価したいと思う。他の接道会社も追随することを期待したい。
 世田谷線の100パーセント再生エネエルギー化計画は、東北電力が提供する電力プランを活用したものであるという。東急電鉄と合わせて、東北電力にもエールを送りたいと思う。

 とはいえ、資力のない私には、株を買うなどということもなかなかできない。
 なので、せめて乗客になろうと決めたのである。
 乗客となって、世田谷線の採算に少しでも貢献したいと思うのだ。


★青、緑、黄、ピンク、色とりどり


 のんびりと走るとは言いながら、普通の都電市電とは違い、世田谷線は軌道は独立して確保されており、渋滞に巻き込まれることはない。所要時間は極めて確実で、イライラすることはない。
 始発駅以外は無人駅、運賃は乗車時に車両の前方と後方に設置してあるチェッカーで払い、降車は車両の中ほどにある出口からというシステムになっており、駅構内や車内でそのことがアナウンスされる。したがって、自然と乗客の流れができ、乗客が出入り付近に集中し混雑するというようなことがなく、中々工夫されている。


 
 走っている10編成の車両は、すべて異なる色だというのも面白い。私は、これまで青、緑、黄、ピンクの車両に乗った。他にはどんな色があるのだろうか、今日は何色に乗れるかな、などと思いつつ待つのも楽しい。。
 また、沿線には、松陰神社、豪徳寺、代官屋敷、ボロ市など見所もあるようで、機会を見つけて行ってみたいと思っている。
 
 

★デモや署名運動以外にできること


 核廃絶や脱原発、デモや署名活動以外に何かできないものか。
 ずっと考えてきた。
 少し、その方向が見えてきた。

 



 

2019年5月4日土曜日

46 世界の若者の温暖化対策要求デモ

 3月15日、世界の各地で、高校生を中心とした温暖化対策要求デモが行われた。
 地球温暖化対策に消極的な政府や大人に抗議の声を上げようという目的で呼びかけられたもので、120か国、2000か所以上で行われたという。

 



★一人の行動が大きなうねりに


 デモは、スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんの活動に触発されてのもの。
 グレタさんは昨年夏、スウェーデン国内で起きた熱波と山林火災を問題視し、政府にパリ協定を順守し二酸化炭素を削減するようよう求めて、国会議事堂前で座り込み総選挙まで学校に行かないという学校ストライキを行った。
 「気象危機は、危機として扱わなくてはならない。気候問題は選挙の最大の争点である」と主張し、総選挙後も週1回座り込みを継続したという。
 
 そうしたグレタさんの行動が世界で注目され、グレタさんも、世界中の学生に学校ストライキを呼びかけるようになったというのだ。

 気候変動のような大きな問題は、一個人の行動ではどうしようもないとか、明日からどうこうというような問題じゃないよね、と自分に言い聞かせて、ともすれば目を背けてしまいがちだ。
 けれども、あきらめない若者がいる。一人でも行動を起こす。
  そしてそれが少しずつ人の心に伝わり、やがて大きな運動になっていく。
  それが現実として、目の前にある。

 3月15日は、前項で紹介したように、ニュージーランドのクライストチャーチで2つのモスクを襲ったテロ事件が発生し、世間の注目はそちらに集まってしまった。しかし、このデモは、テロ事件に劣らず、あるいはそれ以上に注目しなければならない出来事であったと思う。


★温暖化の責任は、私たち大人にある


 温暖化の被害を受けるのは、私たち大人ではなく、若者たちだ。
 私たち大人が、考えなしに、暖房に、交通に、エネルギーを使ってきたからだ。
 そのつけを、若者たちに払わせるのは、理不尽だ。
 私たち大人こそ、その責任を負わなくてはならない。
 
 日本でも、東京と京都で3月15日の行動に呼応したデモがあったという。
 大きな規模ではなかったようだが、こうした若者たちを励まし、応援したい。
 そして、そう考える仲間を増やしたい。




 

45 ニュージーランド銃規制

 3月15日、ニュージーランドのクライストチャーチで、イスラム教徒に対するテロが発生した。
 一人の男が2つのモスクを襲い、散弾銃と半自動銃を乱射、50人もの人がなくなり、数十人が負傷したのだ。

 ニュージーランドは英連邦に所属し白人が多く住む国であるが、元来はポリネシアの一派であるマオリ族の国である。
 18世紀以降英国系入植者と先住民の間での争いの時代を経て、現在では、少数派に寛容な社会として評価されている。昨年は、女性首相が産休を取り出産、復帰後は夫(注)が育児ということで話題にもなり、平和で進歩的な国という印象であった。
 その国でのテロが起きた。

 新聞によれば、ニュージーランドでは、最近急速にイスラム系移民が増え、それに反発して「白人社会の再生」を掲げる極右団体が生まれてきていたという。
 日本が見習うべき国の一つと思っていたニュージーランドで起きたテロに、私は暗澹とする思いだった。

 ところが、ニュージーランド政府と国民は、その翌日からの行動で、私の不安を吹き飛ばしてくれた。


★ニュージーランド国民の反応に敬意


 狩猟が盛んであり、また農業国でもあるこの国では、多くの農場で害獣駆除のために半自動銃が使われてきた。
 銃の保有には免許が必要だが、16歳以上で講習を受ければ比較的容易に免許を取得できるという。購入した銃の登録制度はないので、複数の銃を持つ国民も多かったと考えられている。
 これまで、銃による犯罪はまれだったという。(2006~2015の10年間を見ると、10件以上だったのは2年のみ。)そのため、これまで銃規制はなかなか進まなかった。

 しかし、今回の大量虐殺を知った国民の間では、ただちに銃規制強化を求める声が高まった。
 事件翌日以降、警察には、「自分の半自動銃を廃棄してほしい」という依頼が殺到しているという。また、銃を所有する多くの人々が、「持っている武器を当局に引き渡そう」とネットで呼びかけている。

〇(半自動銃は)農場では便利なツールだ。しかし、自分にとっての便利さよりも、誤った使い方をされるリスクの方が重要だ。
〇私たちの国ではこんなものは必要ない。こんなことは絶対に起きてはならない。
〇こうしたものが誤った人の手に渡れば凶器になりうることが分かった以上。それと引き換えに味わう不便さなどささいなことだ。
〇31年間にわたって銃を所有してきたが、金曜午後に事件のことを知ってから、これからはちゃんと考えなければと思った。月曜に出した答えが返納だ。これまでで最も簡単な決断の一つだった。


★ニュージーランド政府、議会の素早く毅然とした対応に敬意


 一方、政府と議会の動きも果断だった。
 アーダーン首相は、乱射事件の翌日、「恐ろしいテロ行為」「こんなふるまいと考え方を拒絶しなければならない」と犯行を強く非難し、10日以内に銃規制の改革を発表すると宣言した。
 (写真は、16日に記者会見するアーダーン首相)



 6日後の3月21日、首相はその言葉通り、軍仕様の半自動銃や、銃器を半自動銃に改造するための部品などを禁じる銃規制強化の方針を打ち出し、新たな銃規制法を4月11日までに施行し、禁止対象の銃器を買い取る仕組みを整備すると発表した。

 そして4月初旬に法案を議会に提出。それを受けて議会は、4月10日、半自動小銃などの所持を禁止する改正銃規制法案を賛成多数で可決した。
 銃器買取のコストは、最大2億NZドル(日本円で約150億円)になるという。

 なんという国だろう。
 ニュージーランドの国民、政府、そして議会の素早い決断と行動力は本当に尊敬に値する。
 何より、暴力否定の方向が一致しているところが素晴らしい。

 多くの人が、もう一つの、銃規制が必要でありながら、規制しない(あるいはできない)彼の国と比較したことだろう。
 
 
《注》 アーダーン首相の夫は、テレビ・アナウンサー。出産当時は、正確にはパートナー。
    結婚したのは昨日、5月3日。

 
 


2019年3月28日木曜日

44 石巻の徳水先生が会社をつくりました

 3月6日、石巻市の元教師、徳水博志さんからメールが来ました。
 3月8日の4:00から、ラジオ深夜便(NHK)で語るので、聞いてほしいというものでした。

 徳水さんは、東日本大震災で被災した石巻市雄勝(おがつ)小学校の教師だった方です。
 雄勝小学校は17~18mの津波に襲われ、校舎や体育館が流され、下校中だった児童一人がなくなりました。助かった子どもたちも、ほとんどが家を失い、徳水さん自身も自宅を失い、奥さんのお母さんがなくなりました。

 40日後、隣町の中学校の空き教室で学校は再開しましたが、児童数は卒業やら天候やらで108名から41名に激減。その上、震災の後遺症で食欲不振、活動力意欲の低下、情緒不鑑定だったといいます。文部省の指導を受けて教育委員会からは、震災前の教育課程の実施の指示が出されたそうですが、徳水さんは、この子どもたちに対する教育はそんなことでよいのかと、疑問を抱いたといいます。

 震災で多くのものを失い、暮らしの環境が激変し、さまざまな課題が山積みになった生活、そうした娯共たちに必要な学びはなんだろうかと模索。その結果、「地域の人とつながり、地域の復興活動に参加する」という答えを導き出し、活動を展開したのです。

 その内容の概略は、JADECニュース94号(2015/12/15)でご紹介しました。

  ◆石巻の小学生の“震災復興のまちづくりプラン”
    http://jadec.or.jp/main/wp-content/uploads/2015/01/jnews94-20141215.pdf

 ラジオ深夜便では、その過程を徳水さんが語られました。内容は、以前徳水さん自身が書かれた報告書を読んで知っていたことでしたが、本人の言葉で語られると、淡々とした口調でありながら、当時の状況が生々しく伝わってきました。
 そして私は、そのあとに徳水さんが語られたこと、それは徳水さんのその後の活動についてでしたが、これに驚き、心を打たれました。

 徳水さんは、震災から3年後に定年で退職された後、雄勝に地域復興を目的とした会社を立ち上げたのです。子どもたちが成人したのちに、戻ってきて地域復興活動に参加するための受け皿をつくるためです。自社利益を追求するより、地域の課題を解決するための会社。そんな夢物語のような会社などあるはずはない、ならば自分たちで作ってしまえ、というわけで奥さんと二人で会社を立ち上げたというのです。
 
 それが非営利型の一般社団法人「雄勝花物語」、活動拠点は奥さんの実家の跡地に作られた「雄勝ローズファクトリーガーデン」です。

 「雄勝花物語」の事業は、3つの部門に分けて展開されています。

    支援部門:被災地緑化支援、被災地支援コンサート、ローズガーデン開放
    教育部門:防災教育、震災学習、ESD(持続可能な開発のための教育)、ボランティア受け入れ
    事業部門:ハーブ&エディブルフラワー(食べられる花)販売、押し花体験教室
           (さらに、ジャム加工場とコミュニティカフェの建設計画中)

          雄勝花物語Facebook http://www.facebook.com/ogatsuflowerstory/
      雄勝ローズファクトリーガーデン http://ogatsu-flowerstory.com/


 ラジオ深夜便を聞いた前日にみたTV番組では、陸前高田市で大規模な土地の嵩上げ工事が終了し、土地が所有者に引き渡されたけれども、そこへ帰る計画をしている人は1/3もいないということが報告されていました。仕事もなく生活に必要な店もない、住民が暮らしていく手立てをどう作っていくか、行政にはその視点がないと指摘されていました。

 徳水さんは、まさにそのことを問題にされ、会社をつくった。行政に文句を言うのではなく、それを自分でやってしまう。その姿勢と行動力は、きっとそこで働く若者たちに受け継がれていくと感じました。
 それこそが、本当の教育だと思い、胸が熱くなりました。


★徳水さんの著書

 『震災と向き合う子どもたち』新日本出版社 

 地域復興の主体を育てる復興教育、被災児の心のケア、徳水さん自身の再生物語のほかに、復興プロジェクト雄勝花物語の歩み、防波堤の問題、持続可能なまちづくりの課題など、創造的復興の問題点とそれに対峙する人間の復興論について書かれています。(Amazonで購入できます。1800円(税別)

 





 







  

2019年3月25日月曜日

43 サクラの開花宣言

 3月21日、気象庁は東京と福岡で、ソメイヨシノが開花したということを発表した。いわゆるサクラの開花宣言である。
 日本では、サクラの咲く時期になると、各地の気象台がその地域のサクラの開花状況を観察して、開花宣言というものを行う。標本木としている桜の木(ソメイヨシノ)の花が5~6輪咲いているのが確認できると、「開花した!」と発表するのである。今年は、長崎が3月20日で一番早かった。

 毎年TVで、標本木となっているサクラの開花宣言のための観察風景が報道される。東京における標本木は靖国神社にあり、今年は2度3度と観測している様子が報道された。まわりを何十人もの報道関係者が取り囲んで、気象庁の職員の口から開花したという発表が出るのを待っている。
 
 長崎で開花が確認された20日、東京では確認とはならなかった。眼の良い若い女性記者が、そこにもあそこにも咲いているというのだが、初老の職員には大きな木の上の方はなかなか確認できず、双眼鏡を持って来たりして見たのだが、その日はついに開花確認とはならなかった。
 その様子を見ていて、なんだかおかしくなってしまった。実際に咲いていても、気象庁の役人が開花したと宣言しなければ、桜は開花したことにならないのである。

 気象庁が、サクラの開花日を記録するのは、気象の変化をとらえるために必要なことだと思う。標本木を決め、開花と判断するための花の数をを決めておくというのも道理である。しかし、それをメディアがこんなに何日も大騒ぎして取り上げるというのはどういうことなのだろう。
 それより、どこの公園は一部咲き、何々通りの桜並木はもう三分咲きだというような情報の方が意味があるのではないか、と思うのだがどうなのだろう。

 そういえば、同じ気象庁関連で、似たようなものに「梅雨入り宣言」「梅雨明け宣言」がある。その前後の梅雨前線の発達状況や停滞状況等から、「梅雨入りしたとみられる」「梅雨が明けたとみられる」と発表するあれである。梅雨入り宣言をしたにもかかわらず雨が降らなかったりすると、そのときは「空梅雨(からつゆ)」と言い、梅雨明け宣言をした後でまた雨が続いたりすると「戻り梅雨」と言ったりする。
 気象庁にとっては「梅雨入り宣言」「梅雨明け宣言」は意味のあるものではなく、一般の人からのぜひやってくれと言う声があまりにも多いので、仕方なくやっているものだという。実際の梅雨入り、梅雨明けの判断は、その後の状況もずっと観測して、数カ月後に判断するそうだ。
 日本人は、権威あるところに判断を託すのが好きなのだろうか。

 開花宣言や梅雨入り宣言があったから、ああそんな季節になったかと思うのではなく、日常の街歩きの中で、木々や草花の変化、あるいは雲の形や空の色から、自分の力で季節の変化を感じたいものだ。また、それと同時に、一年一年の変化に敏感でありたいと思う。それが、私たちの子や孫、そしてずっと後の人々にこの自然を残していく力の基になると思うからである。

2019年3月23日土曜日

42 沖縄の現実は、私たちの現実

 先月24日、沖縄県で辺野古基地建設に関して住民投票が行われて1カ月になる。
 沖縄の有権者数は約115万人。投票率52.5%で、そのうちの72.2%の約43万人が反対票を投じた。
 投票率52.5%の72.2%、つまり全有権者の37.5%が建設反対の意を示したということになる。
 これは、沖縄県の人々の、辺野古基地建設反対の意思を強く感じさせる数字だ。

 有権者の37.5%、これを有権者数1100万人の東京都に置き換えて考えてみよう。
 東京都の有権者数はこの3月で1132万人、沖縄県のほぼ10倍だ。
 その37.5%は、約425万人になる。
 国が進めようとする施策に、東京都民425万人が反対したという状況だと考えられる。
 
 2016年の都知事選で圧勝した小池百合子氏の得票数は291万票であった。
 このとき、小池氏を知事とすることは、都民の強い意志として受け止められたのである。
 425万人というのは、その1.46倍にあたる。
 もし、国が都に対して進めようという施策に対し、425万の都民が反対したとしたら、国はそれを強引に推し進めるだろうか。

 沖縄では、それが行われているのである。
 37.5%の県民の反対表明を、政府は意にも留めず、粛々と建設を進めるという意向を示している。
 辺野古の海の底がマヨネーズ状で、地盤改良に数年かかかるということが明らかになっていながら、計画を変えるつもりはないと公言している。

 この辺野古基地問題は、なぜかメディアがあまり取り上げないせい。
 (悪質動画投稿問題などに比較すると、信じられないほど報道が少ない。)
 そのためか、沖縄県以外では、あまり大きな問題とは認識されていない。
 しかしこれは、われわれ国民にとって大変大きな問題ではないだろうか。

 国と国民の関係、それはどうあるべきものなのか。
 それは沖縄に限らず、各都道府県の住民が考えておくべき問題だ。
 国益≠都道府県益(その地域の住民が望んでいるもの)であるとき、それは、国が一方的に、
 地域住民の望むところを無視して、国の考えるところを推し進めてもよいものだろうか。
 各都道府県民は、国がこうと決めたら、それに絶対従わなくてはならないのか。
 沖縄の状況はそうなっているのである。
 
 そしてそれは、他の都道府県民は、それはその地域の問題だからと、ほおっておいてよいのだろうか。
 沖縄の問題だからと、知らぬふりをしていてよいのだろうか。
 自分のところの話ではないから、自分たちに類が及ぶわけでないからと、知らないふりをしていてよいのか。

 外交努力をせずに、ただただ軍備を拡大していく現政府。
 アメリカの求めるままに基地をつくり、武器を買う。
 その行く手には、いくらでも類似の問題が起きてくる。
 新型ミサイル迎撃システム「イージスアショア」の配備計画、軍事研究家からは、維持体制に莫大な費用がかかるという指摘や、固定した設備であるので有効性が低いという指摘もあるものだ。予定地となっている山口県阿武町や秋田市で攻撃対象になるからとして反対運動が起きている中、政府は予定地の測量など計画を粛々と進めている。

 沖縄の現実は、私たちの現実でもある。
 沖縄の問題は、私たちの問題としなければならない。