2018年11月2日金曜日

35 埼玉の空はアメリカ?

 JADECの以前の事務所は大きな建物の1階にあったので、空というものをあまり意識したことがありませんでした。今の事務所はマンションの6階、周りはまだ畑の残る低層住宅地なので、窓を開けると目の前にはおおきな空が広がっています。毎朝窓を開けたとき、空の色や流れる雲、遠くに見える木々の緑やその変化を見ることが楽しく、仕事の合間にも窓の外を眺めることが多くなりました。かなたには、都心の高層ビルやスカイツリーも見えるのです。

 しばらくして、よく小型飛行機やヘリコプターが飛んでいることに気がつきました。複数機が編隊を組んで飛んでいくこともあります。形から見てどうも普通の飛行機ではない。軍用機のようなのです。入間基地(自衛隊)も近いしな、訓練でもしているのかななどと思い、さして気にもしていなかったのですが、それはとんでもない事実を示していたのでした。
 「ボーっと生きてんじゃないよ!!」と叱られそう・・・


横田空域


 JADECの事務所にある新座市の上空は、いわゆる“横田空域”というやつです。
 横田基地に駐留する米空軍の管制下にある空域で、東京都の3/4程と、神奈川・山梨・埼玉・群馬の上空のほとんど、そして静岡県・長野県・新潟県の一部を占める広大な空域です。
 (東京都の場合、上板橋駅―中野駅―等々力駅を結ぶ線より西側全部の上空がこの空域に入ります。)

 
 航空機の飛ぶ空間ですから、横田空域は平面的なものではなく、高さもあります。それをイメージ化したものが次の図です。
 
 
 民間の航空路は、この空域を侵さぬように設定されています。
 不測の事態が起きて、この空間を飛ばなければならない状況になった時には、米空軍管制部の許可を得て飛ぶことになります。しかし、米空軍と日本の管制本部とは無線の周波数が異なるため、その切り替えを行わなければなりません。魔の時間帯である離陸直後、着陸直前、そして危険な状況下における余計な操作は負担になるといいます。
 
 

日本の空を自由に飛ぶ米軍

 
 一方、米軍機はこの空域をいつでもどんな高さでも自由に飛べます。
 
 日本の航空法上では、飛行の最低高度基準は人口密集地300m、その他の地域150mとなっていますが、米軍はそれを無視して飛んでいるのが現実です。60mほどの低空飛行もたびたび報告されています。沖縄はその最たるものですが、ここ新座でもその一端を見ました。
  (33.私の町にオスプレイが来ました 参照)
 
 米国でも日本の航空法と同様の法律があります。米軍は、自国ではそれを守って飛んでいるそうです。沖縄でも、米軍宿舎の上空は飛ばないそうです。
 それなのに、日本国民の居住地域や学校の上空を、平然と低空で飛ぶ。夜間でも飛ぶ。日本国民の安全を考慮していない、というより人間扱いしていないようにさえ思います。
 それに対して、日本政府は文句が言えない、断れない。飛行の高さや時間帯を制限することができない。
 それを許しているのが、日米地位協定です。
 
 横田空域(沖縄を始め、岩国、三沢といった米軍基地の周辺にも、横田空域同様にこうした米軍の管制下にある空域が存在します。
 米軍は自由に使えるが、日本は米軍の許可がなければ使えない。
 日本の空でありながら日本の空ではない、それを決めているのが日米地位協定です。
 
 

羽田新航路を認めない米軍

 
 2020年の東京オリンピックに向けて、羽田空港の発着枠を拡大すべく、新航路の準備が進んでいます。しかし、ここに至って、横田空域の一部をかすめるこの新航路を米軍が認められないと言ってきました。日本政府はさぞ困っていることでしょう。
 
 実際のところ私は、東京の住宅密集地や繁華街の上空を低空で飛ぶことになる新航路には反対です。しかし、その案の撤回の理由は、日本国民が主体的に検討した結果であるべきだと思います。
 
 

これこそ戦後レジーム

 
 首都圏の上空を他国が支配する、これはまさに占領下にあると言ってもおかしくない状況です。
 これこそまさに戦後レジームだと思います。
 国の主権はいったいどこにあるのでしょう。
 戦後レジームからの脱却を声高に主張する彼の人は、このことをどう思っているのでしょうか。
 日本の主権を守るべき、日米地位協定を変えて行く。憲法改正より、その方が先ではないでしょうか。
 
 
 「そうはいっても、日本はアメリカに守ってもらっているんだから、しかたがないんじゃないの」
と考える人が多いかと思います。しかし、それはどうも違うらしいのです。
 アメリカの公文書の調査から、それがわかってきました。
 
 (以下、次稿)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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