しかし、今年は既に9月ごろから、今年の漢字はこれ、とうわさされている字がある。
少し気が早いとは思いつつ、確かにそれは今年を代表するのふさわしい漢字だと、私も思った。
その字は、「嘘(ウソ)」という字である。
今年は、年の初めから、日本中が嘘(ウソ)まみれになっている。実際には、それよりかなり前からそれは始まっていたのであるが、今年はそれが噴出し、国民の目にさらされたのである。
政治家・官僚
政治家のウソ。中心は言わずと知れたあの人だ。そしてその側近、そしてお友だち。
議会で追及され、それをかわすためにまたウソをつかなければならない、という構図が見えた。恥の上塗りならぬ、ウソの上塗りだ。
政治活動費の使い方のウソもあった。国会議員にもあったが、地方議員にも多く見られた。
官僚のウソもあった。これは、かの政治家の「ウソ」をごまかすための「ウソ」が多かったが、法案を無理やり通すための「ウソ」のデータもあった。
高度プロフェッショナル法案の必要性を調べるために事前に行ったとされる聞き取り調査は、実際にはやっていなかった。法案要綱作成後に後付けで行った聞き取り調査もたった5社12人、しかも全員が企業側が選んだ人間で、会社側の人間が同席しての聞き取りだったときては、あまりにもいい加減なデータだと言わざるを得ない。
統合型リゾート推進法案(通称IR法案、またの名はカジノ法案)を通すために国が作った法案もウソくさかった。利用者の大半が外国からの観光客であるという前提のもとに作り上げられていたが、最近の海外からの観光客が日本に求めているものを分析している専門家たちは、そういうことは考えられないと発言しているし、IRを導入しようとしている自治体さえも利用者の多くは日本人であると予測している。
企業・銀行
多くの企業、特に製造業でウソが蔓延しているということも、明らかになった。
神戸製鋼、三菱マテリアル、三菱自動車、スバル、スズキ、日産、マツダ、ヤマハ発動機、コスモエネルギーホールディングス、東レ、宇部興産・・・皆、一流とされている企業である。
製造データの偽装が中心で、中には20年来の偽装というものもあった。技能実習生への計画外作業というものもあった。
堅いとされた銀行も例外ではなく、会社ぐるみで行われたスルガ銀行、東日本銀行、みちのく銀行での不正融資や、融資関係書類の改ざんは、長く続く低金利政策による銀行業界の地盤沈下とも関連して大きな問題として取り上げられた。
障害者雇用でも
そして秋口になって明らかになったのが、官公庁における傷害者雇用の水増し問題。障害者
手帳が交付されておらず障害者とは認定できないものを障害者として雇用し、あたかも法定雇用率を満たしているかのように、ウソのデータを作り上げたのである。
行政では、内閣官房を始めとする27省庁、立法では衆議院事務局など4機関、司法では最高裁、高裁、地裁、家裁の各裁判所と、国の機関の8割が、そしてなんと障害者雇用の監督責任を持つ厚生労働省までもが水増しを行っていたのである。
10月22日、この問題の調査にあたった第三者委員会は、水増しされた人数は3809.5人であったと、発表している。
このほかにも、37都道府県、2政令都市、5市町村でも水増しが確認されており、日本国中にウソが蔓延している感じだ。
子どもたちに対して
道徳が教科になり、小学校で道徳の教科書が使われるようになった今年。
何という皮肉だろうか。道徳の教科書に書いてあることと、大人たちのやっていることは違う、ということを子どもたちに伝えてしまった。
子どもたちにTVニュースは見ないように、新聞は読まないようにと言わなくてはならないのだろうか。
それとも、勉強と現実とは違うのだから、と教えなければならないのだろうか。
強くなれ、えらくなれ、そうすればウソをついてもいいんだ、と教えるのだろうか。
しらばっくれていればいいんだ、そのうちみんな忘れるから、と教えるのだろうか。
★今年の漢字、清水寺での揮毫は12月12日だそうである。
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