2018年8月23日木曜日

33 私の住む町にオスプレイが・・・

私の家から歩いて20分、仕事場からは10分程のところに、ぐるりと金網が張り巡らされて、住民は入ることのできない広い敷地があります。
 大和田通信所、在日アメリカ空軍の通信基地です。新座市と清瀬市にまたがる広大な面積を占めています。(ウィキには約120ヘクタールとあります。そこまで広くない感じですが・・・)




 この大和田通信所に、先ごろオスプレイが飛んできたのです。
 人づての情報で、私自身は実際には見ていませんが、新聞等でも報道されているので、間違いのないところです。
 7月2日夕方のことで、オスプレイは横田基地から飛んできたそうです。
 かなりの低空で旋回し、離着陸訓練も行っていたといいます。
 志木街道の上空でホバリングしていたという情報もありました。
 

大和田通信所というのは


 大和田通信所というのは、かつての大日本帝国海軍の大和田通信所。無線の受信・傍受の施設として使われ、有名な真珠湾攻撃成功を伝える電信「トラ・トラ・トラ」や、ポツダム宣言を受信したところです。
 現在は防衛省所管で、米空軍と共同管理しています。さまざまな形のアンテナがいくつも設置されており、現在もそうした仕事をしていることがわかります。
 米軍機への送信を担っている所沢通信基地(所沢市並木)と合わせて、米空軍をコントロールするための重要な施設であると言えるでしょう。
 そういうところであるので、万が一のことがあれば、真っ先に攻撃目標になる可能性もある、そんな所です。

所沢通信基地


 下は、所沢市並木の航空写真、赤色の線で囲んだ部分が米軍通信基地です。
 大和田通信所にオスプレイが来た同じ日に、オスプレイが飛来したもうひとつの場所です。



 
 所沢市の広報によれば、面積97ヘクタール。地図上では、大和田通信所の8倍ほどの広さがあります。
 黄色の線で示したところは、所沢市役所、市民文化センター(立派な音楽ホールなどがあります)、警察署、裁判所、銀行などが集まった、所沢市の官庁街ともいうべきメインストリート、その目と鼻の先です。(青色の線は、市が要望している東西連絡道路予定地) 周辺には、複数の小学校、中学校、高校があり、病院や障がい者のためのリハビリセンターもあります。
 所沢市のまさに一等地であるこの広大な土地は、所沢市であって所沢市のものではないのです。
 毎日飛行機が離着陸しているわけではありませんが、沖縄でいえば、普天間飛行場のような存在だと言えるでしょう。
 

オスプレイの飛行訓練、知らぬ間に日常化。その先は・・・


 たびたび事故が報告されているオスプレイ、所沢市の広報によれば、7月3日に防衛省北関東防衛局に対して、飛行予定の連絡の要望と低空飛行、旋回をしない旨の申し入れをしましたが、「今後も飛行の可能性がある」との回答を得ただけのようです。その後、7月12日、8月10日にも飛来したとあります。

 横田基地のある福生市の広報からは、もう少し状況が詳しく読み取れます。福生市の広報には「オスプレイ飛来情報」というものがあります。そこには、基地からの離陸があって、着陸があったことが書かれています。つまり、飛び立ってまた帰ってきているのです。週に複数回飛行訓練が行われているようで、最高5基が目視されています。そこから類推すると、横田にはすでに複数機が配備されていると考えた方がよいようです。
 行先は、三沢飛行場であったり、東富士演習場であったり。そうした情報は、北関東防衛局からのもので、米空軍は「運用に関することなので回答できない」という対応だそうです。
 
 福生市、八王子市でも、国に対して低空飛行、市街地旋回などをしないようにとの申し入れをしていますが、こちらもきちんとした回答が得られているようには見えません。
 
 危険な状況に対して、米軍にしっかり申し入れできず、また国民にきちんと説明もされず、いつの間にか日常化していくということは、大変危険なことだと思います。

 夜間訓練が始まっている?


 おととい21日の夜、少し遅い食事をとっていたとき、何かバタバタという音が近づいてくるのが聞こえました。それはやがて遠ざかっていきましたが、しばらくするとまた近づいてきて、また遠ざかっていきました。間隔はかなり空いていましたが、何回か繰り返されました。
 「ヘリコプターみたいね」「何かあったのかね」と窓をあけて、音のする方角をみると、ヘリコプターが見えました。ヘリコプターはさして高くないところを旋回飛行、しばらくして大和田通信所の方角に飛んでいき、だんだん高度を下げ見えなくなりました。
 時間はそろそろ9時になるころでした。

 食卓に戻り、しばらくすると、またその音が聞こえてきました。少し旋回音が続き、そしてまた遠ざかっていきました。離着陸の夜間訓練だったのではないかと思います。
 暗かったため、ヘリコプターがオスプレイであったかどうかは確認できなかったのですが、オスプレイの飛行は、その用途から基本的には夜間なのだそうで、オスプレイであった可能性は多分にあります。
 

日本国として


 日本政府の姿勢はどうなのでしょうか。
 自治体の要望を受け止めて、米軍に対して注文をつける様子は見えません。
 「国民の命を守るぞ」という強い姿勢が見えないのです。
 占領されているわけではないのに、なぜ、米軍にきちんと要求しないのでしょう。
 なぜ、やりたい放題にさせておくのでしょう。
 国の主権をないがしろにするような状態で、基地がおかれていることには疑問、というより怒りを感じます。

 「100%と共にある」と、かの人は言いましたが、アメリカ・ファーストで行くと公言している国と100%共にというと、それはまさにアメリカの属国になりますと言っているというようなものです。
 とんでもない話です。
 
 日本を守るために米軍基地は必要なのでしょうか。
 基地があることが帰って危険を招くという主張もあります。
 本当に国を守るとはどういうことか、国民を守るということはどういうことか。
 そもそも国とは何なのでしょうか。
 本気になって考えなくてはならない時が来ているように思います。
 


★★★
 昨22日、政府は横田基地へのオスプレイを正式配備を10月1日とする旨を発表しました。
 もうすでに配備されており、離着陸訓練もしているのに、これからさらに1カ月以上も先に配備しますって、どういうことでしょう。
 このタイミングでの発表は、米軍から連絡があったからということらしいですが、まさに宗主国と属国の関係を示しています。(ホントに情けないかぎり)

★★★
 米軍基地の70%が集中している沖縄の思いは、いかばかりかと思わざるを得ません。
 どれほどの悔しさ、不安、怒りを積み重ねてきたことでしょうか。
 来月の沖縄県知事選、沖縄の心が一つになり、沖縄県の真の自治が実現することを祈ります。
 


 


 




 
 

 




2018年8月16日木曜日

32 翁長さんの目

 8月11日の土曜日、池袋で行われた集会に、清瀬で市民運動をしている方々と参加しました。


 
 サンシャインビルの北側にある東池袋公園。結構人は集まっていましたが、あまり大きくない公園なのでなので大行動というのは少しさびしい感じでした。(それでも2800人が集まったと後で知らされました。)
 冒頭に、急逝された翁長知事の黙祷をささげ、そのあと、同じ時刻に開催されていた沖縄の県民大会の挨拶が中継され、7万人の人が集まったと報告されると、集まった人々から大きな歓声と拍手がおこりました。

 そのあと、翁長知事の生前の言葉が息子の雄治さんによって語られました。
 「沖縄は試練の連続だ。しかし、ウチナンチュとしての誇りを捨てることなくたたかい続けてきた。ウチナンチュが心を一つにしてたたかうときには、お前が想像するよりも、はるかに大きな力になる。」

 この日、一番印象に残ったのは、デモ行進の列を作りつつあるとき、私のすぐ近くにいた男性が掲げていた大きな写真です。その写真には、安倍首相が写っていました。沖縄慰霊の日に、献花に向かう安倍さんの姿です。
 そして、写真の隅には、その安倍さんを見る翁長さんが写っていました。
 
 


 これは、怒りの目です。
 目の力が凶器となるなら、安倍さんは死んでいるかも、と思わせる強い怒りの目です。
 
 面積、日本国土の0.6%の土地に、70%の基地が集中する沖縄。
 その沖縄に、また新たな基地が作られようとしています。
 沖縄の財産である美しい自然、これからの沖縄の観光資源となるべき美しい自然ををこわして・・・
 世論調査では沖縄県民の70%超が辺野古埋め立てに反対しています。
 その沖縄の民意を一顧だにせず、政府は「粛々と」辺野古埋め立てを進めようとしています。
 もともとは自民党であった翁長さん、その愛のない政治姿勢に、怒りをもって立ち上がった翁長さん。病には勝てませんでした。さぞ残念だったことでしょう。

 なんとか、県民の心が一つになって、大きな力となりますように。
 本土からも、精いっぱい応援したいと思います。

 

31 もっと重大な問題があるのに

 ここしばらくTV各局では、連日ボクシング連盟の問題を報じていた。
会長が反社会的組織の人間と交際していたとか、会長の出身県の選手に有利な判定をしていたとか、大会開催時に会長に過剰な接待をしていたとか・・・

 少し前までは、日大アメフト部の違法タックル問題だった。
 またその前は、レスリングの全日本チーム強化部長によるパワハラ問題。
 またその前は、大相撲の力士間における暴力問題。
 問題が起こるたび、TV各局では毎日のように、結構な時間をかけて報道する。
 朝・」昼のワイドショーにおいては、1時間以上もそれにかけるということもあった。
 関係者を呼び事情をくわしく聞いたり、、背後関係をいろいろ調べたりし、それについてコメンテータたちがああでもない、こうでもないと話し合う。
 微に入り細に入り、つまらないことまで報道する。
 (たとえば、ボクシング連盟会長接待のために県連が用意した〇〇飴だの〇〇県産のブドウだのの写真とか)

 一日ぐらいならやってもよい。
 しかし、1週間も2週間もそればかりだというのはまったくいただけない。
 仮に問題にするにしても、なぜ、こうしてスポーツ界で次々とこうした不祥事が起きるのか、何か根本的な問題、体質的な問題があるのではないか、そうしたことを分析して、改善の方法を探りだすとかするのならよい。だが、いつまでもスキャンダル報道、野次馬的姿勢にとどまっている。
 うんざりして、最近はBSニュースにチャンネンルを変えることもしばしばだ。

 世界でもいいろいろな問題が起きている。
 日本に関係してくる問題や、日本人が考えなくてはならない問題がいろいろあることがわかる。
 国際人として、また地球人として考えなくてはならない重大な問題があることがわかる。
 ただBSニュースは、各国がその国の立場で報道していることを、次々と速いテンポで流すので、そこから自分の問題として取り込んでくるのが難しい。
 日本のTV各局は、そうした問題をぜひ取り上げてほしい。整理してわかりやすく伝えてほしい。

 また、日本国内にだって、スポーツ界の不祥事など問題にならないほど、重大な問題が山ほどある。
 国民の70%近くが反対しているカジノ法案がなぜ通ってしまったのか。
 国民の過半数が望み野党4党が共同で出した原発ゼロ法案はなぜ審議されないのか。
 G7で協議され取りまとめられたプラスチックごみによる海洋汚染に対する具体的対策に関する合意文書になぜ、日本は署名しなかったのか。
 進みゆく猛暑について、抜本的な改善方法、研究はされているのか。TV局は冷房を奨めているだけでよいのか。

 野次馬的に、目先のことばかり追いかけるだけでなく、視聴者の知性と品性を高める方向に舵を切ってもらいたい。視聴者を賢くすること、それがメディアの最も意味ある使命ではないのか。

2018年5月31日木曜日

30 清瀬市では子どもが産めなくなりました

 JADECの事務所は埼玉県新座市にあるが、市の端っこにあり、生活圏は10分歩けば繁華街に出られる清瀬市と東久留米市である。そして私には坂がない清瀬市の方がより身近な存在だ。
 家人も、市民活動を新座市ではなく清瀬市で展開している。

 清瀬市は、地図上では東京都の中ほどよりやや東、その最北端に位置し、埼玉県の所沢市と新座市に挟まれている。利用できる鉄道は西武池袋線で、池袋から約30分、清瀬駅で降りる。南と北の駅前ロータリーからはそれぞれ数路線のバスが、1時間数本ずつ出ており、都会とは言えないが、辺鄙でもない郊外の町で、人口は約7万5千人。

 その清瀬市では、昨年の8月から、子どもが産めなくなった。
 それまで唯一出産ができる病院であった駅前の産婦人科病院が閉院したからである。助産師のいる産院はいくつかあるが、集中治療室(NICU)を備えた新生児の救急対応ができる産院はない。
 つい先ごろの市民活動の集会で、双子の出産を控えた娘がいるという人が、市内では子どもが産めないと悲痛な訴えをしていた。双子は早産になる可能性が高いので、新生児の救急対応が可能な施設でないと受け入れてもらえないという。
 以前、清瀬市には都立の小児病院があったのだが、2010年府中市に移転して以来、NICUがあり新生児の救急対応ができる小児科もなくなったのである。

★病院はたくさんあるが・・・

 以前結核療養所のあった清瀬市は病院の多いところで、清瀬駅の南側一帯は知る人ぞ知るの病院団地状態だ。国立病院機構東京病院を始めとして、救世軍清瀬病院、複十字病院、親愛病院、都共済清瀬病院等が並び立っている。しかし、そのどこにも分娩のできる産婦人科はないのだ。

 この事態は、この5月ですでに9か月続いている。
 市議会で、共産党議員がこの問題を取り上げて、その対処について質問したが、市の対応は「医師会と相談してみる」程度ののんびりした対応だ。4月末の市民集会で窮状を訴えるほどであるから、対応は進んでいないと見える。

 ちなみに新座市の場合も調べてみたが、出産できる医院は3か所ほどあったが、NICUがある病院はゼロだった。2つ隣りの和光市にある国立病院機構埼玉病院に、つい最近やっとできたということがわかった。

★ドラマ「コウノドリ」に見る産科医療現場の過酷な実態

 昨年10月~12月にTBSで「コウノドリ」という、病院の産婦人科を舞台としたドラマが放映された。
 2015年に続く第2シリーズで、医療関係者と患者との関係、夫婦・親子のあり方、そして「命」が生まれる奇跡をテーマにしたものである。
 主人公のモデルは実在の産婦人科医師、実際の病院を取材し、事実に基づいて作成されたものであって、毎回生まれたばかりの赤ちゃんも登場するという、内容も描写も本当にリアルなものだった。
 このドラマの中では、産科医療医療の従事者が働く過酷な環境についても描かれていた。深夜勤務も多く、家にも帰れない医師たちの働きすぎの状況や、一歩誤れば訴訟というような危機もある。ドラマでは、みんなの頑張りで何とか乗り越えていくのであるが、実際には、それに耐えきれず閉鎖していく産科医院も多い。
 昨年11月、日本産婦人科学会は「深刻な人手不足の恐れ」という報告を発表している。医師不足で運営できなくなる恐れのある施設は、高度医療を提供できる施設の約70%、一般参加病院でも半数に上るという。

★求められる国の対策
 
 国はこうした状況にどう対処するのか。
 国は少子化対策を重要課題として挙げている。
 子育て支援、女性活躍社会も重要課題とし、待機児童ゼロ、教育費の無償化を重要政策とした。
   高校学校はすでに無償化がスタートし、幼児教育の無償化も2019年度からスタートするようだ。
 教育無償化に反対する気はさらさらない。
 しかし、子どもを産むまで、そして産んでから学校に上げるまでのところに対しての対策が、あまりにも手薄ではないのか。
 というより、まるで無策だというべきかもしれない。
 どちらかと言えば、教育をタダにするというより、まず、こどもを安心して産める環境、育てる環境を作る方が先ではないのかと思う。
 子どもが産めなければ、幼稚園に行かせることも、学校には行かせることもできないのだから・・・ 

 安心して子どもを産めるような病院をつくるのが先ではなかったのか?
 そしてそこで、産科医師たちが安心して働ける体制をつくるのが先ではなかったのか?
 学生たちが、参加医師をめざして勉強しようと意欲を出す環境をつくるのが先ではなかったのか?
 安心して子どもを預け、 親がしっかり働いて、もう一人子どもを産みたいという気持ちになるような環境をつくることを努力することが、先ではなかったのか。

 そして言うまでもなく、森友学園や加計学園獣医学部をつくることに力をかけるより先に・・・

 
 



 
 
 

2018年4月30日月曜日

29 或る日の新聞

 4月の或る日、我が家に配達された新聞は、第1面から6面までが、書籍などの広告をのぞいて、すべて次の内容で埋め尽くされていた。
 ・加計学園問題(官邸が関係した可能性をしめす愛媛県側の文書発見)に関する記事
 ・防衛省の日報隠し問題の記事
 ・森友学園への国有地不当払下げ問題に関する文書改ざんや、財務局から業者に対する偽証依頼に関する記事

 長期にわたって野党が追及し、政府側が国会で「ない」「していない」と答弁してきたものが、「あった」「していた」ということを証明するような文書や証言が出てきたのである。
 いずれも大きな問題でで、それが一つならずも三つ四つも重なった結果の出来事である。

 国のトップやその周辺の人が、近しい人を優遇したのではないか。
 国民のために仕事をすべき官僚が、本来のあるべきルールを曲げて不正な仕事をしたのではないか。
 官僚が、権力を持つ人々のために、公文書、もしくはそれに準ずる文書を、書き換えたのではないか。
 野党が国会で求めた資料が、政府に都合の悪いものだったので隠したのではないか。
 
 そうではないと政府は言う。膿を出し切ると首相は言う。
 しかし、野党の求める資料は出さない、調査はしないという。
 関係する人々の証人喚問(もしくは参考人招致)は拒否する。
 そうした姿勢から、疑惑はますます深まっている。
 社会面は、識者や町の人々の政府への疑惑、怒りの声で埋まっていた。

 こうしたマスコミによる報道の状況は、この日ばかりではない。
 この日ほどではないが、ずっと続いている。
 そして報道は新聞ばかりでもない。TVや雑誌でも報道される。
 それを見聞きした大人たちの会話もある。
 子どもたちは、そうしたものを見聞きしながら、日々生活している。考え方も身につける。

 この4月、小学校では道徳教育が教科としてスタートした。
 政府肝いりの道徳教育である。



★学校で学ぶことと、実社会での行動のしかたとはちがうと教えているのだろうか。
 
 
 
 

2018年2月2日金曜日

28 適材適所

 確定申告が2月16日から始まるにあたり、立憲民主党の枝野代表が、先月23日の衆院予算委員会で国税庁のトップである佐川宣寿長官の更迭を要求した。しかし首相は、佐川氏を国税庁長官に任じた理由を「適材適所」と答え、更迭を拒否した。

 佐川宣寿氏とは、森友学園問題で、国有地代金8億円値引きの交渉記録は破棄したと繰り返し答弁した、かの人である。(値引きが不当なものであったことは、会計検査院の調査により、ほぼ明らかになった。また、契約途中での交渉記録の破棄も、ルール上問題ありと指摘されている。)
 その人を国税庁長官に任じた理由が、「適材適所」だというのである。

 「適材適所」とは辞書によれば、「その人の能力・性質によくあてはまる地位・任務につける」とある。
 トップの条件については多くの人が語っているが、例えば船井総研の創業者船井幸雄氏の言葉に次のようなものがある。
 「トップの器量以上に組織体は大きくならないし、成長もしない」
 「トップ自らが人材となる努力を惜しまぬこと。そうすれば彼ら(部下)は自然とトップをまねるようになり、人材も育つ」

 「適材」をトップにいただいた国税庁の職員たちは、確定申告を控えて鬱々としているらしい。納税者にたちに「しっかり領収書をそろえて」と言えば、「お宅のトップを棚に上げて、えらそうに言うな」とか「8億はうやむやにするくせに、こんな僅かな金額にはうるさいんだな」などと納税者の怒りをかい、対応に苦慮することが明白だからである。

 首相は本当に、国税庁長官として佐川氏を適材と考えたのであろうか。
 国民の70%ほどが森友学園問題についての説明は不十分とみているのである。その当事者の佐川氏をトップに据えれば、国民の怒りをかうのも、国税庁に働く人々が困惑するのも目に見えていたはずだ。

 佐川氏は、税理士業界紙の新春対談で「ささいな問題でも対応を誤れば信頼を失う」「納税者の皆様の理解と信頼を得て、適正な申告・納税を確保していく」と語ったそうだ。
 しかしこの言葉は、納税者にも国税庁の職員たちにも反発こそあれ、響くことはないだろう。

 国税庁、苦難の1カ月がもうすぐ始まる。
 

27 どこかの国によく似ている・・・ファシズムの初期兆候

 下記の14項目は、米国のワシントンD.C.にある「ホロコースト記念博物館」の“Early Warning Sign of Facism”(ファシズムの初期兆候)と題された展示ポスターに書かれたものであるという。

 1.強力かつ継続的なナショナリズム(Powerful and Continuing Nationalism)
 2.人権の蔑視(Disdain for Human Rights)
 3.団結させるための敵の設定(Identification of Enemies as a Unifying Cause)
 4.軍事の最優先(Supremacy of the Military)
 5.はびこる性差別(Rampant Sexism)
 6.支配されたマスメディア(Contorolled Mass Media)
 7.国家安全保障への執着(Obsession with National Security)
 8.宗教と政治の統合(Religion and Govemment Intertwined)
 9.企業の力の保護(Corporate Power Protected)
10.労働者の抑圧(Labor Power Suppressed)
11.知性や芸術の蔑視(Disdain for Intellectuals and Arts)
12.刑罰強化への執着(Obsession with Crime and Punishment)
13.身びいきや汚職の蔓延(Rampant Cronyism and Corruption)
14.不正な選挙(Fraudulrnt Election)

 この14項目は、アメリカの政治学者ローレンス・ブリット氏が2003年に発表した「Fascism Anyone?」という論文からの抜粋だそうだ。
  ヒトラー(ドイツ)、ムッソリーニ(イタリア)、フランコ(スペイン)、
  サラザール(ポルトガル)、パパドロス(ギリシア)、
  ピノチェト(チリ)、スハルト(インドネシア)
といった歴史上に実在したファシズム体制を分析して抽出した、共通する特徴だという。
 「ファシズムの初期兆候」というより、「ファシズムそのものの特徴」を示したものと考えた方がよいという指摘もある。

 さて、私は、この14項目については、遅ればせながら弁護士の伊藤真さん(法学館法律事務所)の講演会で聞き知ったのであるが、14項目を順番に聞いていくにしたがって、何やら、極めて身近に思い当たる政権が浮かび上がってきたのである。
 すでに多くの人々が同じ思いでいるようで、ネット上でも話題になっている。
 アメリカでも、トランプ政権に当てはまると問題にされているという。

 こうした兆候を、国民の多くが具体的に感じ取って、それに対抗する姿勢を見せなければ、いつの間にかファシズム体制に移行してしまう。歴史にそうした例がいくつも示されている。
 民主的な手続きを踏んでいるからといって安心できるものではない。ヒトラーのナチス政権だって選挙により国民に選ばれたのだ。
 現政権には、その手口をまねたらよいと公言してはばからない政治家がいる。
 昨年10月の選挙だって、野党が要求した臨時国会、憲法で保障されているところのその臨時国会を、何一つ審議しないままに解散。まさに上記の第14項を地で行っている。
 この憲法違反さえ疑われるような選挙で、その政権を圧倒的に勝たせてしまう国民であってはいけないと思う。

 次の選挙までには2年ほどある。
 我々国民はファシズムを寄せ付けぬ力を持たねばならない。