2019年1月28日月曜日

41 Nobody is Right

 2015年の夏ごろ、あるCMが話題になった。草原に立った大勢の女性たちが、みな同じ方向を向いて歌をただ歌うというもので、しばらくは何のCMだか分らなかった。
 ただ、その歌詞が妙に心に残った。
  「争う人は、正しさを説く。 正しさゆえの争いを説く・・・」
  ちょうど、集団自衛権を問題にした安保法案が国会で審議されており、首相の答弁がさまざま取沙汰されていたときだったので、それへの批判じゃないかという声も多々見られた。私自身もまさにそう感じていた。

 誰の歌なのだろうかと思って調べたら、中島みゆきさんの「Nobody is Right」という歌であることを知った。下記がその歌詞である。

 もしも私がすべて正しくて とても正しくて 周りを見れば
 世にある限り全てのものは 私以外は間違いばかり
 もしもあなたが全て正しくて とても正しくて 周りを見れば
 世にある限り全てのものは あなた以外は間違いばかり
  (中略)
 正しさと正しさとが相容れないのは いったい何故なんだ?
 Nobody is right.Nobody is Right. 正しさは
 Nobody is right.Nobody is Right. 道具じゃない

 悪い人などいないだなんて あいにくですがうなずけません
 正しい人こそいないんじゃないか 完ぺき正しいってどういう人だ
 争う人は正しさを説く 正しさゆえの争いを説く
 その正しさは気分がいいか
 正しさの勝利が気分がいいんじゃないのか

 あとで、このCMは或るアパレルブランドのものだと分かった。「明日をどう生きていくか」という問いかけであり、人類にとっての最重要テーマである反戦と平和を訴えたものだった。

 慰安婦問題に始まって、徴用工問題、レーダー照射事件などをめぐり、日韓の挑発合戦ともいうべき事態になっている今、私の頭の中では、この歌詞が繰り返し流れている。
 お互いに正しさを主張して譲らない、日韓双方の政府と軍隊(自衛隊も実質軍隊)。
 それぞれの後ろに国民、そして支持者が控えている。
 もしも譲ったら面子が失われる、国益が失われる・・・

 しかし、2つの国にとっては、もっと重要なことがあるはずだ。
 それは、日韓を含むこの東アジアの平和を築いていくということだ。
 そのためには、日韓の友好的な関係は不可欠だ。
 共に歩むという姿勢こそが重要だ。
 日韓両政府は、お互いに冷静になって、振り上げた刀を下ろしてほしい。
 それができたとき、2つの国それぞれが本当の勝利を得たといえるのではないか。


★追記
 (中略)としたところの歌詞はつぎのとおり。

   つらいだろうね その一日は。 嫌いな人しか 出会えない。
   寒いだろうね その一生は。 軽蔑だけしか いだけない。

 このままいくと、日韓両政府は、日本と韓国の人々を、こうした関係に追い込んでしまいそうな気がする。世論調査の結果などを見ると、既にそうなりつつあることを感じる。
 早く冷静になって、大人の外交をしてほしい。
 日本と韓国の人々が、お互いを尊敬しあって付き合って行かれるようにすることこそが、国を預かるものとしての使命ではないのか。



 

  

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