2020年9月16日水曜日

65 7枚のマスク

「あなたはどう受けとめましたか?」
テニスの2020全米オープン大会の優勝インタビューの際に、大坂なおみ選手が質問者に対して返した言葉である。

大坂選手は大会中、理不尽に殺害された黒人被害者の名前を書いた黒いマスクをつけて、会場に入場した。

1枚のマスクに一人ずつの名前が白い文字で書かれた黒いマスク。 1試合ごとに異なる名前が書かれ、決勝までの7試合で7枚のマスクがつけられた。

質問者は、マスクをつけたのはどういうメッセージだったのか、と大坂選手にたずねたのである。


それに対して大坂選手は、逆に質問者に対して「あなたはどう受けとめましたか?」と問い返した。

大坂選手がその7枚のマスクをつけたことを、質問者自身がどう感じ、何を考えたのかと問うたのである。そして、つぎのようにつけ加えた。

「そのことについて話し合ってもらいたかった。考えてほしいと思った。」


決勝までの7試合の間に、マスクについて大坂選手が語ったことは、「7枚用意した」「決勝まで勝ち進んで全部見せたい」「7枚では足りない事が悲しい」ということだけだった。

彼女はマスクに被害者の名前を記すことで、それを見た人たちが、「この名前の人は誰?」「彼らに何が起こったの?」と思い、「どういう事実があったのか」を自分で調べ、「そのことについて考え」「周りの人と話し合う」という行動をしてほしいと思ったのだ。

彼らに起こった出来事は「あって良いことなのか」「なぜ続くのか」・・・

どうしたら、皆が理解しあい、助け合って生きて行く世の中にして行くことが出来るのか・・・


メッセージは、それを見聞きしたものがどう受けとめ、何を考え、どう行動するかが大事なのだ、と彼女は言っている。自分のメッセージは意味あるものであったかを彼女は知りたかった。

日本の中にも差別はある。さすがにアメリカのような殺害事件はないが、外国人労働者や技能実習生、朝鮮系の学校に対する行政不当な待遇や、周囲の人の心ない言動を数々耳にしている。最近では、コロナ陽性者や医療・介護従事者に対する差別的な言動が数多く発生していることが報道されている。

大坂選手の言葉、しっかりと受けとめかみしめたい。



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