2020年1月15日水曜日

58 「輝いた」のではなく「恥をかいた」

世界報道写真展で


昨年12月21日、日本橋三越本店で開催された世界報道写真展を訪れた安倍首相は、
 「今年は日本が世界の真ん中で輝いた年になった」
と述べた。同展で展示されていたG20首脳会議の写真パネルにサインした後である。
居並ぶ首脳たちの中央で、トランプ首相と習近平主席の間に位置した自分の姿から、こういう言葉が出てきたのだろうか。




しかし、日本は議長国だったのだから、真ん中に座るのは当たり前の話。
G20首脳会議の議長は持ち回りでやっているのだから、単に順番が来ただけの話だ。
来年は韓国が議長国なので、文在寅大統領が中央に座ることだろう。


国際社会への貢献、記憶をたどったが・・・


昨年日本は、国際社会でどのような働きをしただろうか。
「世界の真ん中で輝いた」というほど、国として世界に貢献したことがあったか・・・
残念ながら、記憶に残っているものがなかった。
韓国との確執は、強気一辺倒で改善する姿勢は見せず、
東アジアの地勢を危うくしているし、双方の国の経済もおびやかしている。
ロシアとの関係では、経済協力も、北方領土問題もさして進展していない。
アメリカとの関係は、トランプの顔色をうかがっているばかり。
日米地位協定では未だ占領下のような屈辱的関係だし、貿易交渉でもアメリカに押されている。
アメリカとの関係改善を狙ったイラン訪問も、空振りに終わった。


個人のレベルでは・・・


個人のレベルでは、世界的に称えられた人々がいる。
2018年の全米オープンに続き、全豪オープンで優勝した大坂なおみ選手。
初出場で全英オープンゴルフを制した渋野日名子選手。
28年の選手生活にピリオドを打ったイチロー選手。ひたむきに野球に向き合ったその姿は人々の心を打った。

逆境を乗り越え、2019年の世界的大会で史上最高の11勝を挙げたバドミントンの桃田選手も賞賛に値する。
世界2位の強豪を倒しベスト8へと進んだラグビー日本チーム。様々な国の選手が心を通わせワンチームとなって闘う姿が感動を呼んだ。将来の国のあり方をも考えさせられた。

ノーベル賞は途切れなかった。企業の中で研究し続けた吉野彰さん、リチウム電池でノーベル化学賞を受賞した。
そして忘れてはならないのは、アフガニスタンで30年以上も人道支援活動を続け、12月4日に銃撃され亡くなった中村哲さん。世界各国の公的機関や報道機関がその死を悼み、メッセージを寄せた。アフガニスタンの人々は中村さんを英雄と称え、大統領は棺を担いだ。

どれも称えられたのは努力した個人個人であって、日本という国ではない。
唯一、国として今年日本が世界で注目され称えられたのは、各国の王族や首脳を招いて行われた天皇の代替わりの行事。しかし、ここでも注目されたのは、1000年守り続けられた日本の文化と伝統であって、現在の日本が国際社会に貢献している内容や姿勢ではない。



2019年、日本が世界で評価されたことは・・・


日本が2019年、国際社会に貢献した内容を評価されたもので、もっとも顕著なものは2回の“
化石賞”だ。
12月2日から2週間にわたって開催されたCOP(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)で受賞したもので、地球温暖化対策に対して消極的な国に送られるもので、地球の現状に対する認識不足と、環境を破壊して人々を危険にさらしているというレッテルを貼られたのである。

化石賞の1回目は「石炭火力発電を選択肢として残したい」との梶山経済産業相の発言に対して、2回目は脱石炭に対して言及がなかった小泉環境相の演説に対して贈られた。

日本は世界の真ん中で「輝いた」のではなく、「恥をかいた」のだ。












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