2017年1月30日月曜日

6. 自由の女神は何を思うか

沖縄に駐留する軍隊の傍若無人なふるまいや、様々な国々への非難すべき軍事介入、
日米貿易の歴史において重ねられた日本に対する理不尽ともいえる要求・・・
そういった数々のマイナス要因はあるが、
それでも多くの日本人はアメリカが好きだし、世界のリーダーとみなしてきた。

それは、単に経済力が強大であるとか、科学技術が進んでいるとかだけでなく、
自由と人権、そして多様性を守るという姿勢、
そして世界に対してどう貢献するかという大義を感じてきたからだと思う。

そのアメリカのシンボルであるのが「自由の女神」。
アメリカへの入り口の一つであるニューヨーク港内のリバティ島に
外国からの人々を迎えるように立っている。
自由の女神像の台座には、詩が刻まれているという。
エマ・サラザス(1849-87)というユダヤ系アメリカ人の詩人のものだ。
その詩の中に、女神の言葉として語られる、次のような一節があるという。

  私が受け入れるのは、疲れた人、貧困にあえぐ人
  自由を切望しながら身を寄せ合う民衆
  他国の海岸でみじめに拒否されたたくさんの人々
  彼らをどうぞ、私のもとへ
  嵐にもまれて身の置き所もない彼らを
  私はここで、黄金の扉の前で、
  明かりを持って待っています

国籍、人種、宗教を問わず、誰も拒むことなく受け入れ、
その個人の能力を持って自由に生きることができる、
というのがアメリカ本来の理念であったのだ。
そして、それゆえにアメリカには世界から有能な人が集まり、発展してきた。

就任演説で、「アメリカ・ファースト」を繰り返し、メキシコ国境への壁建設や
難民およびイスラム教7カ国の国籍保有者の入国を禁ずる大統領令を出したトランプ大統領に、
女神は何を思うだろうか。









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