2020年6月18日木曜日

60 ため息が出るほど遅い その1

日本の新型コロナに対する対策。
2月初めに大型クルーズ船で陽性者が確認されて以降の、4か月余りにわたるその経緯を見て感じるのは、そのトンチンカンな対応と、遅さである。
それはため息が出るほど。


布マスク配布について


6月3日、我が家のポストにプラ袋に入った布マスクが投函されていた。
これが噂のアベノマスク・・・
4月1日に、全世帯2枚ずつ届けると首相が宣言したあのマスクである。
同じマンションの友人に、汚れや黄ばみがあって返した知り合いがいると聞いていたので懸念していたが、そういうことはなかった。
しかし、いかにも小さい。
小顔ではない我々夫婦には、向いていない・・・

それに私はもう、端切れを使って布マスクを10枚も作ってしまった。
ネットで紹介されていた様々なデザインと作り方、その中から、顔にフィットする立体的なデザインを選択。型紙を作り、裁断し、そして手縫い。
守備は上々。結構満足できるものが続々とできた。(家庭科教育万歳!)
娘も、黒地と白黒の小花模様のリバーシブルの作品を「これいいね」と1枚持っていった。
だから、我が家には国からのマスクはもういらないのである。

ある調査では、75%の人がアベノマスクを使わないと答えたという。
その小ささや、平面的で周辺に隙間が出てしまうことから評判が悪いらしい。
配布に余りにも高額な予算がつぎ込まれたことも、拒否反応を生んでいるようだ。

それでもまだ、4月のうちに配られたのなら感謝されたかもしれない。
特定警戒地域13都道府県の一つであった埼玉県で配布が始まったのは、
首相宣言より1ヵ月もたった5月1日のことである。
更にそれから1ヵ月以上たって、埼玉のはずれのこの新座に届いたのだ。

5月になって、マスク不足に応えて次第にさまざまな分野の企業が、マスク製造にのり出したという報道が相次いだ。月末には早くも新しいデザイン、新しい素材の製品がつくり出されるようになり、ネット販売が始まったところもある。
また少しずつではあるが、不織布マスクがスーパーやドラッグストアーで出回り始めた。
私のように自分で作った人も少なくない。(町で結構見かける。)
だから「アベノマスクはいらない」という人も多くなった。
要するに、国の布マスクは證文の出し遅れとなったのである。

国は、このプロジェクトがどのぐらいの期間で実行できると考えていたのだろうか。
一世帯当たりマスク2枚配るなんてことは、一つ一つを見れば小さな仕事にすぎない。
しかし、5000万世帯に配るとなれば大きな量の仕事になる。

調達から配布までのプロセスを、どういう人員でどう進めるか、
具体的に想定してスケジュールを計算したのだろうか。
2枚1組にして、そこに厚労省のつくったパンフレットを組み込んでパッケージするところから、各郵便局に必要数を送り、局員が各世帯に配布するまでの具体的作業を洗い出して、工数計算する。
それが2ヵ月かかるという計算にはならなかったのか。

2ヵ月もかかることがわかっていて実施したのであれば、
国民の心理をおもんばからない愚かな計画だったと言わざるを得ないし、
ずっと短い期間でできるという計算だったのなら、
実体把握能力が極めて低かったと言わざるを得ない。

   *   *   *   *   *

ため息の出るほど遅かった「マスク配布プロジェクト」は、6月15日に終了した。
そもそもマスク2枚の配布なんてことは、国がやることだったのだろうか。



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