2020年1月15日水曜日

59 首相の思いをじゃましているのは誰?


「どの国にとってもwinwin、そして未来に向けて持続可能な成長軌道をつくる。
 私の思いはその一点でありました。」
昨年6月末に開催されたG20大阪サミットの最終日、安倍首相は確かそう語った。

「戦争は対話で解決できる」
内戦終結の功績を評価され、2016年にノーベル平和賞を受賞したコロンビアのサントス大統領の言葉である。
外交の基本は対話だと言っているのである。
それは戦争さえ解決する力を持っている、と言っているのである。
対話により、お互いにwinwinの関係をどう引き出し提案していくかが、外交の仕事なのである。

新年早々に起きた、アメリカによるイラン革命防衛隊司令官殺害に始まるイランと米国との緊張関係。これに対する国際社会の反応は・・・
EUのフォン・デン・アライン委員長は、イランとの緊張関係への懸念を述べ「兵器の使用を直ちにやめ、対話を始めるべきだ」と語った。
中国は外交を統括する政治局委員がアメリカに自制を求めた。
そして国連のグテーレス事務総長は、「戦争を避けることは我々の共通した責務だ」と両国に対して自制を促した。

しかし今日まで、日本の外務省そして安倍首相のこの問題に対するきちんとした姿勢表明はない。
アメリカとイランに対して自制も求めていない。
(ぶら下がりの記者団に対して、日本の立場と対応について説明はしたようだが。)

安倍首相は、現在、サウジを始めとする各国を訪問して日本の立場を説明しているらしい。
それは石油の安定供給のための、自国ファースト的外交にしか見えない。
国際平和、国際協調という理念に対する、日本の確固たる姿勢を表現していないからだ。

米国のトランプ大統領とのお友だち関係を誇示する安倍首相。
そして、イランとは長年の友好関係を築いている日本。
昨年は、首相がイランを訪問し、またロウハニ大統領が日本を訪れた。
すでに、平和をどのように維持していくかが模索されていてしかるべきである。
外交に強いと評価され、また首相自身も自負している外交である。
その強い外交力をこの時点でなぜ発揮しないのか。

昨年の徴用工問題に発する日韓の関係は、winwinどころか互いに攻撃的政策を仕掛け合い、ケンカのようだった。
韓国が折れてきているのに、日本はまだ歩み寄る姿勢を見せようとはしない。

韓国、イラン、アメリカ、中国・・・
首相が望む「どの国にとってもwinwin」の、「どの国」とは、一体どの国なのだろうか。
「どの国にとってもwinwin」というのは単なる言葉の綾だったのか?
それとも、首相の思いをじゃましている誰かがいるのだろうか?










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